助成金と補助金の違いとは?目的・管轄・給付額・受給しやすさなどに違いがある
2024.03.03 補助金
目次
助成金とは
助成金とは、国や地方自治体が提供する支援の一種で、特に厚生労働省が中心となって運営しています。
この制度の主な狙いは、労働環境の改善と安定化です。それには、雇用を増やすこと、従業員のスキルアップ、職場環境を整えることなどが含まれます。具体的には、事業主が直面する労働に関連する問題に対処するための資金面でのサポートを行います。
助成金の資金は雇用保険料から得られており、雇用保険を適用している事業主が対象で、重要なのは、この支援金は返済不要であるという点です。
助成金を受け取るには、まず適切な実施計画を立てて申請し、計画に従って活動し、活動が終わったら、その報告書を基に助成金の申請を行います。
申請された書類は審査され、労働局の支給決定を経て、指定された口座に助成金が振り込まれます。
目的に応じて、さまざまな助成金が用意されており、例えば、キャリアアップ助成金は、非正規や派遣労働者を正社員にするなどの処遇改善を行った事業者への支援です。この制度には、正社員化を行った場合に、一人あたり57万円が支給される「正社員化コース」など、具体的な取り組みに応じた複数のコースがあります。
簡単に言うと、助成金は、雇用を促進し、より良い労働環境を作るために、返済不要の支援金を提供する制度です。事業主が直面する様々な労働関連の課題に対して資金面でサポートし、労働者の職の安定を目指します。
補助金とは
補助金とは、国や地方自治体、その他公的機関が提供する、特定の事業や活動を経済的に支援するための資金です。
この制度の目的は、新規事業の立ち上げ支援、地域経済の活性化、公益性の高い事業の推進など、幅広い範囲に及びます。つまり、補助金は社会全体の利益に貢献する様々な活動を後押しするために存在します。
補助金の主な管理は経済産業省をはじめとする各省庁や自治体によって行われており、財源は主に税金から捻出されています。対象者は個人事業主やフリーランス、中小企業経営者など、幅広い層に及びます。
補助金を受けるためのプロセスは、一般的には申請から始まり、審査、採択、交付申請、事業開始、事業実績の報告、そして補助金の受給という流れで進みます。審査では、事業計画の独自性や成長性、実現可能性、社会への貢献度などが評価されます。
様々な目的に応じて多様な補助金が存在します。例えば、小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の販路開拓や生産性向上をサポートするためのものです。IT導入補助金、ものづくり補助金、事業再構築補助金などもあり、各々が特定の目的に応じた支援を提供しています。
簡単に言えば、補助金は国や自治体が政策的な目標を達成するため、またそれらの事業の普及や取り組みを促進するために、企業や事業者に経済的支援を行う制度です。これにより、新たな事業の立ち上げや既存事業の拡大、地域経済の活性化などが促され、社会全体の発展に寄与することが期待されています。
助成金・補助金の違いとは
助成金と補助金は、どちらも国や地方自治体から提供される経済的な支援ですが、目的、管轄、給付額、受給のしやすさ、公募期間において違いがあります。
簡単に言うと、助成金は労働環境の改善に焦点を当てた支援で、要件を満たせば比較的受給しやすいです。対して、補助金は新規事業や地域振興など広範な目的のための支援で、競争を勝ち抜いて採択される必要があります。各々の目的や条件をよく理解し、適切な支援を選ぶことが重要です。
目的の違い
助成金の目的
主に雇用や労働環境の改善を目的としています。これには、従業員のスキルアップや賃金の引き上げなどが含まれます。
補助金の目的
新規事業の支援や地域振興、公益につながる事業の促進を目的としています。これには、事業の研究開発や市場拡大などが含まれます。
管轄の違い
助成金の主な管轄は厚生労働省ですが、補助金の主な管轄は経済産業省や中小企業庁など、多岐にわたります。
給付額の違い
助成金の給付額は比較的少なく、数十万円から数百万円程度です。
補助金の給付額はより大きく、数百万円から数十億円と幅広いです。
受給のしやすさ
助成金は要件を満たしていれば原則として受給可能です。
補助金は申請しても採択される必要があり、受給が保証されているわけではありません。
公募期間の違い
助成金は通年で公募されることが多く、受給しやすい時期が長いです。
補助金は一定期間のみ公募され、公募期間も短いことが一般的です。
助成金・補助金を申請するときの注意点
事前の資金計画が重要
助成金や補助金は基本的に後払いです。プロジェクトや事業に必要な資金は先に自己資金で用意するか、融資などの資金調達が必要になります。事前にしっかりと資金計画を立てましょう。
給付されないケースに備える
助成金や補助金が必ず給付されるわけではありません。事業期間中の支出が対象であり、それ以外の支出は認められないことが多いです。また、事業終了後に提出する報告書や支払証憑類に不備があると、給付されないリスクがあります。
申請から支給までの時間を理解する
助成金や補助金の申請から支給まで、長期間かかることがあります。場合によっては1年以上かかることも。計画段階でこの時間を考慮に入れ、スケジュールを組むようにしましょう。
法令遵守と正確な事務処理
助成金や補助金を受け取った事業は、会計検査院の検査対象になることがあります。法令を遵守し、正確な事務処理を行うことが重要です。不正な支出が発覚した場合、返還を求められることもあります。
他の支援との併用
複数の助成金や補助金を併用する場合、それぞれの制度のルールに注意が必要です。中には併用が認められない場合もありますので、事前に確認しましょう。
助成金・補助金は万能ではない
助成金や補助金を活用することで、新たな挑戦やリスクの軽減が可能になりますが、すべての課題を解決するわけではありません。自社の資金計画や事業計画にどのようにフィットするかを慎重に検討し、最も効果的な活用法を考えましょう。
申請から受給までのながれ
助成金や補助金を申請する場合は、これらのプロセスを念頭に置き、特に資金繰りに関しては慎重に計画を立てる必要があります。事前の準備と正確な書類提出が、スムーズな申請と受給につながります。
1. 実施計画の申請
まず始めに、あなたが実施したい活動の内容を示す実施計画を作成します。この計画は、助成金や補助金の支給要件に基づいていなければなりません。計画が完成したら、それを提出します。
2. 採択
補助金の場合、申請後に採択結果が発表されます。この段階で、プロジェクトが支援を受けられるかどうかが決まります。
助成金の場合、特定の条件を満たしていればほぼ確実に支給されるので、採択プロセスはありません。
3. 実施
実施計画に従って、活動を実行します。この段階での活動は、後に支給申請の際の根拠となるため、計画通りに進めることが重要です。
4. 支給申請
活動が終了した後、あるいはルールに基づいた適切なタイミングで、支給を申請します。この際、活動報告書や経費明細など、必要な書類を提出する必要があります。
5. 支給
提出された申請書類が審査され、支給要件を満たしている場合に限り、助成金や補助金が支給されます。
補足: 受給までの時間
助成金の場合、受給が決定してから実際に支給されるまでには、場合によっては1年以上かかることがあります。
補助金の場合、多くはプロジェクトや事業が終了した後に支給されます。資金繰りを考える際には、このスケジュールを考慮することが重要です。
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